ー広島市西区にある幼稚園です。己斐みどり幼稚園は小学校へのスムーズな移行を真剣に考えますー
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こんなところです
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こんな考えです
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みなさんと一緒に
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気になる子
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(C) 2011 koimidorikindergarten |
大型連休が終わりましたが、皆様いかがお過ごしでしたか。
子どもたちにとっては、きっと楽しいお休みだったことと思います。
日頃からの早寝早起きも、休みということで少しばかりゆるんだかもしれません。
さっそく幼稚園では、「お家がいい。」「お母さんが良い。」「幼稚園に行きたくないよ。」という言葉がちらほら。
いわゆる“登園しぶり”です。
保護者の方々の中には、子どもたちのそのような言動に当惑されている方もおられることと思います。登園しぶりというものは、非常に胸が痛いことでしょう。
朝、おうちで身支度をするときから激しく泣き、「幼稚園に行きたくない!」と、普段の数倍のパワーで抵抗する。もしくは、泣きすぎて嘔吐する・・。
やっとのことで幼稚園に連れてきたと思ったら、今度はしがみついて離れない・・。なんとか職員に預けて帰ろうとするも、後ろから大声で泣き叫ぶわが子の声に後ろ髪引かれるも、断腸の思いで子どもと別れる・・。
そんな経験をされた方もあろうかと思います。
子どもたちの登園しぶりの理由には様々あります。
しかし、それらの理由を突き詰めれば、多くの理由は「幼稚園より家の方が居心地がいい」というところに集約されることに気づきます。
たとえば、家では好きなおもちゃがあって好きなだけ使える。好きな時にテレビを見て、好きな時に寝ることもできる。手を伸ばせばおやつがあるかもしれません。
一方で、幼稚園では、好きなおもちゃがあっても、友達と一緒に使わなければならない。時には他の子にとられてしまうこともあるでしょう。せっかく作った物を、時間になったら片付けなくてはなりません。
もちろん幼稚園では楽しいこともたくさんあります。が、集団生活の中では、譲ったり、待ったりするなど自分の思い通りにならないことが多々あります。約束事もご家庭よりたくさんあるでしょう。自ずと自由は制限されます。
もちろん、幼稚園より家の方が居心地が良いのであれば、それは基本的に良いことです。
家は子どもたちにとって安心できる基地であってほしいものです。しかし、そこに居ては大切なことを学ぶ機会が減ってしまうことも事実です。
そこで、一つお願いがあります。
まずは子どもたちの登園しぶりの理由を聞いてみてください。
たとえば、「なんとなく」「疲れた」と言った場合は、熱を測ってみてください。
体調に問題なさそうであれば「はい、大丈夫!」と言って登園させてください。
子どもたちの「疲れた」のことばには、たいてい別の意味が込められています。「今は甘えたい」「もう少し寝たい」等々、その時々で様々です。
実際、子どもたちの「疲れた」という言葉はあまり当てになりません。
さっきまで疲れたとぐったりしていた子も、楽しそうなおもちゃが目の前に現れた途端、元気フルパワーで突進することもよくあります。
子どもたちの「疲れた」のことばで、すぐに休ませていると、本当に疲れやすい子になってしまうと言われています。これは決して好ましいことではありません。
しんどいことを簡単に避けて通ることはできないという体験を子どもの頃から積み重ねることは、子どもたちに体力をつけ、我慢の力を養わせます。
他の例としては、「友達がいやなことするから・・」と言った場合は、話を一通り聞き、やはり幼稚園に登園させてください。
その際、職員にそのことを全て伝えてください。友達とのトラブルであれば、大人がその解決を何らかの形で手伝う必要があります。
トラブルを一つずつ乗り越える為にも、まずは幼稚園に登園しなければ始まりません。
万が一、休ませる場合は、普段好きな事をして過ごしているご家庭で、一つ制約を作ってください。
たとえば、テレビは幼稚園が終わる時間まで見ない。
おもちゃを使う時間を制限する。またはお母さんの家事のお手伝いをさせる。などです。
理由は簡単です。
もし、子どもたちが「しんどい」と言えば幼稚園を休むことができ、さらにお家で好きなことをして過ごせるとなると、登園しぶりは簡単に習慣になってしまうからです。
ここで、もう一つお願いがあります。
登園渋りがあったことは必ず職員に伝えてください。こちらもご家庭と連携をとり、十分な配慮を心がけてまいります。
今、子どもたちは大人に見守られています。しかし、大きくなれば困難に自ら立ち向かっていかねばなりません。嫌なことも我慢し、乗り越えなくてはなりません。
この“我慢する”という力も、子どものころからの訓練によって身に付くものなのです。
昨今の育児書では、「子どもの気持ちを尊重して」「子どもの意志を第一に」などと書かれているのをよく見かけます。まるでそれをしない親はダメだと言わんばかりです。
そのため、保護者の方も「今は子どもの好きなようにさせてやろう」「大人になればできるようになる」と思われる方が増えています。
しかし、実際は全てを受け入れていては子どものためにはなりません。
毅然として譲らず、大人が主導権をとり、責任を持って子どもたちを導くという姿勢は本来子育てにおいて重要なことです。
子どもたちは社会という中では未熟な存在なのです。
「しんどい」という言葉や、泣き声にほだされて、つい譲ってしまいそうですが、いつもそれでは、まだ未熟な子どもが主導権を握ってしまっています。
そうした状態では大切なことを学ぶことができず、大きくなってから本人が一番苦労することになります。大人が譲らない線を引いておくことは大切なことです。
ただ、間違ってはいけないのは、“叱る”必要はないということです。
冷静に、優しく、しかし断固たる決意のもと、「幼稚園に行くのよ」と言って、登園させてください。
すべては本当の意味での子どもたちのために。
引かれる後ろ髪を振りほどいて、毅然と登園しぶりに対応していきましょう。子どもたちが社会に出ても屈することなくたくましく育っていくために。
ひと歳とった私の願いです。
園長 徳永悦子